書評

【書評】「読書の価値」本は無くなり出版社は潰れるが読書は残る話

みなさんが読書をする理由、あるいは読書に期待する事は何だろうか。

小説家である森博嗣さんが読書をテーマに書いた「読書の価値」という本を読んで考えてみると面白いと思う。

この本には、著者が今読んできた本、著者の本の選び方、著者の読書の仕方等が書いてある。

それ以外にも本の未来像、出版業界の悲惨な現状等、興味深い事が書いてあったので今回いくつか紹介したい。

紹介する内容を箇条書きにして簡単にまとめると下記3点になる。特に3点目についてはみんなの読書の役に立つと思う。

  • 将来本が無くなるという話
  • 出版社が潰れて無くなるかもしれないという話
  • 読書のコスパは最強だという話

それでは、SFチックだが夢のある話からしていこう。

将来本が無くなるという話

著者は将来本の形が代わり、今の形の本が無くなると予想している。

それをまとめると下記のようになるが、AI(人工知能)と組み合わさってもはや本とは言えないものになっていて面白い。

  • 携帯電話からスマートホンに変わったように印刷された書籍から電子書籍に入れ替わる。
  • 書物をAIが読んでその内容を掻い摘んで話す。
  • そういった機能はどこに組み込まれるかは予想できない。(本かスマホか)
  • 本の未来像は作者そのもの、人間に近づいていくのではないか。

具体的に説明していくと、

まずこれは予想できると思うが、電子書籍化する事で本の中の図や写真は動画になり音楽も出せるようになる。

さらに、プログラム的なものが組み込めるから読者が選択肢それに応じて内容をカスタマイズ出来るようになりまるでゲームのようになる。

僕は、スマホアプリのゲームが本に取り込まれるか、または本がゲームに取り込まれるか、もしくはゲームと本が合体して新しい名前のコンテンツとなるかもしれないと思った。

さらに著者は、場合によってストーリーを自分の好みに合わせて選べたり、

AIを組み込めば本に質問をして答えてくれるようになる、と著者は予想している。

例えば医療関係の本にAIを搭載して、自分の体調を本に言えば診断してくれるといった使い方が出来ると思う。(AIによる対話型の医療診断システムはすでに開発されている。)

そして読者はあらゆる知識をベースにしたAIに相談が出来る、と言っている。

これはSiriに自分の恋愛や人生相談をするようなイメージだろう。

もしこれが実現したら、依存する人が沢山出てきそうだ。

実際、1964年にAI研究の一環で開発されたイライザという「対話しているように見える」システムでは、

テキストのやりとり(要はチャット)だけだったがものめりこむ人が結構いたらしい。

イライザとプライベートな話をしているから部屋から出ていてくれ

という発言もあったとか

最終的な著者のいう本の形は、一冊という概念が消えて、ほかの作品とリンクし、一部であっても利用できるといった柔軟性を持つもので、

本を作ると言う行為が発生して、本の所有者のデザイン力が試される、と著者は言う。

これははっきりとしたイメージは出来ないが、ユーザの希望するコンテンツ(動画、テキスト、音楽、ゲーム、対話など)を提供するようにユーザがSiriをカスタマイズする感じだろうか。

めちゃくちゃ楽しみだ。

著者は本の形が変わると言っている一方で、作家の仕事は無くならないだろうと言っている。

AIの進化によってあらゆる分野で人間の仕事が取られるとしても、作家自体は仕事として残る。

作品に感動すると読者は作家という個人に興味を持つことが多い。

AIが作品をかけるようになっても読者はどうしたらいいかわからないだろうと。

調べてみると、AIに短編小説を書くという試みはすでに行われている。

星新一が残した1000本ほどの短編のデータをもとに、人工知能に文章を書かせようとするプロジェクトだ。

僕は今のAIが書く文章というと少し興味がある程度だ。

しかし、近年話題になっているディープラーニング技術によってAIの研究が数年で飛躍的に伸びる可能性が十分にある。

進化したAIの書く文章には強く興味を持つと思う。

さらに、定まった形の文書(新聞の記事やニュース)であればすでに人工知能が人に代わって書く技術は使われている。

なので、人工知能が書いた文章に感動する時代がいつか来るのではないかと僕は考えている。

あるいは自分の所有している人工知能が、自分のためだけに小説を書き続けてくれるようなサービスも出来るかもしれない。

人工知能が書いた作品という事を隠して、人間が書いた作品として発表し続ける事も考えられる。(これは著者も予想している)。

AIの本の書評のリンクを最後に置いておくので、興味があったら読んでほしい。)

印刷された「書籍」について、

僕の友達は、本を「書籍」で購入して読み終わった本を棚に並べて、

それを眺めて読んだ本のストーリーについて思いめぐらすのが好きだから

電子書籍は買わないと言っていた。

そういったコレクタ気質は十分理解出来るが、

電子書籍が印刷された「書籍」に勝る点はかなりあるので、

ぜひ電子書籍も試してから判断して欲しいと思った。

10冊でも100冊でも一つのタブレットに入れられて持ち運び出来るという利便性だけで僕は感動した。

著者も言っていたが、いずれ印刷された「書籍」は僕の友人が求めるような需要を満たすために受注生産され、とんでもなく高い値段になるのではないかと思う。

出版社は潰れて無くなるかもしれないという話

本書では出版業界の大不況や問題点を指摘している。

そして自費出版はどうだろうと調べて見たら、ハードルが下がっていて、

もう自費出版でいいんじゃね?と思った。

本書によると、

本は不況に強い商品と言われていた。

景気が悪くなるとまず娯楽産業が落ち込むが、本は安く時間もつぶせる。

どこへも出かけず安上りに余暇を過ごせるアイテムとして役に立っていたからだろう。

しかし、インターネットの登場により誰でも手軽に暇つぶし出来るようになり、

雑誌が売れなくなり漫画も頭打ちとなった。

僕は学生時代はある音楽雑誌を毎月買っていたが、就職してからいつの間にか買わなくなってしまった。

雑誌を読んで知りたい事はインターネットで検索すれば大体出てくる。今は「趣味が読書」という人が少ない時代だと思う。

さらに若者の人口も減り続けるので売り上げが伸びる可能性は低い。

(少子化の問題は非常に深刻なので、最後にリンクを貼っておくから是非一読してほしい。)

趣味が多様化した時代なので、一つのジャンルに集まるファンが昔と比べてどこも減っている事も影響しているだろう。

では、本を書いている作家と本を売り出している出版社の関係はどうだろう。

本書によると、出版社は作家を束ねてマネージメントをするような事はなかったらしい。

漫画家だけが出版社で囲われて編集部が事務所的になり、

編集者がマネージャのように活動していた。

つまり、漫画家は作品の内容について編集部から指導が入り、他の出版社からは作品が簡単には出せない。

一方小説家は編集部から指導は来ないし、他の出版社から作品を出すこともできるということだ。

森さんもデビュー当時は担当編集者から「何の制約もありません、ご自由に書いてください」と言われ、

唯一の例外が、イスラムの宗教絡みの事は慎重にという事だけだったらしい。

漫画が共同開発、小説は個人事業という感じになる。

森さんは、本が売れず出版業界が不況な中、もう手遅れだが出版社が生き残るためには、

出版社自体がコンテンツを生み出す努力を惜しまない事、外部の才能を探すだけではなく、自分たちで創作するという姿勢を持ってほしいと感じている。

読者集団から作家集団に生まれ変わってはいかがと。

僕は今まで出版社は漫画、小説とジャンル問わず共同開発スタイルだと思っていたが、そうではなかったらしい。

出版社がコンテンツに付加価値をつけるような活動をしてはどうですかという事だろうか。

作家や作品に対して読者が興味のありそうな事を、出版社が先回りして調べた記事を巻末につけるとかしたらどうだろう。

さらに普通の出版社の仕事について調べたらこんな感じの仕事だった。

  1. 新刊の企画を立てる
  2. 原稿完成後、本のレイアウトを決める
  3. 印刷所に入稿、ゲラの完成
  4. 校正作業をする
  5. 赤入れしたものを印刷所に再入稿
  6. 問題なければ校了

クリエイティブは仕事は①くらいだろうか。

自分だったら個人で電子書籍として自費出版したほうが手っ取り早いような気がする。

巻末にweb上のアンケートページへのリンクをつけたり、著者のメディアへ誘導したりも出来る。

次に自費出版のサービスについて調べてみた。

  • 電子書籍を無料で作成・販売できるBCCKS、
  • 簡単な配本申請するだけで販売する事が出来るKindleや楽天Kobo、BOOK☆WALKERのような大手ストア、
  • 更にPODというサービスを使って紙書籍でも基本無料で出版出来るサービスまであるらしい。

自費出版でいいなこれは!

まさか紙書籍ですら基本無料で出版出来るとは。

出版社を通して出版するメリットが思いつかない。

「出版社が宣伝してくれるかもしれない」くらいだろうか?

しかし自分の本の宣伝は個人でもやれるだろう。

ブログ、ツイッター、YouTubeと手段は一杯ある。

個人のブログから自費出版した本を無料で配布している人もいるので、

文章を書くのが好きだったり、文章力のある人はネットビジネスと相性が非常によさそうだ。

出版社さん、頑張ってください・・・

読書のコスパは最高だという話

著者は、読書は知識や他人の思考、体験を知るのに一番手っ取り早い方法だと書いているが全くその通りだと思う。

僕も読書をするときは本から何かを学ぼうと意識してメモを取りながら読む。

本から得た知識が別の本やニュースからの情報とリンクして知識が蜘蛛の巣を貼るようなイメージができる。

例えば、人工知能研究に関するディープラーニングという技術の話とこの本で読んだ本の未来像がリンクしたり、

遺伝子ドライブという遺伝子操作の技術の話と、マラリアという伝染病を撲滅するために活動している財団のニュースにつながったり。

未知のジャンルの本を読んで知識を蓄える面白さの一つがここにあると思う。

さらに本書には、つまらない本であれば何がつまらないか、という理由を探せば何かが見つかるし、それを探す技術が身につく。

結果的に自分が成長出来るのだからこれは明らかに得をしていることになるのだ、と書いてある。

これは、どんな本を読んでも学ぼうという姿勢があれば自分の成長につながるという事になる。つまりメリットしかない!

僕はこれからも面白い本、つまらない本、どんな本でも、そこから何かを学ぶという姿勢は常に忘れずにこれからも読書を続けていこうと思う。

そしてこの記事がみなさんの読書ライフのお役に立てれば幸いだ。

僕はこの本を読んで!と強要する事はしないけれど、電子書籍を読んだ事の無い人は是非試してもらいたい。本当に楽だから!

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