書評

【書評】歴史嫌いな奴集まれ 初めて読む人のローマ史1200年

歴史というと学校の退屈な授業のイメージしかなかったけれど、

実は学べる事、面白い事が沢山あるなと

本村凌二著「初めて読む人のローマ史1200年」

を読んで気づかされた。

学ぶのは年号や人名、地名じゃなくて、当時の人の考え方や出来事の因果関係等だ。

僕は読む本を選ぶときにジャンルは特に決めてないけれど、

歴史は少し敬遠していた。

しかし、起業してからはいろんな知識を貯えようと決めていたので

生まれて初めて歴史ジャンルの本を読んだ。

その結果、すごく面白かったし、昔の人から学ぶ事が多く刺激になったので

本書を読んで面白かった事を2点紹介したい。

  1. ローマ帝国の発展・維持には貴族と平民の間の強い結びつき、人間関係が不可欠だった。そしてこの人間関係をいろんな分野にうまく応用していた。
  2. ローマの時代にも現代のアイドルの様な存在がいた。そして似た様なスキャンダルも起こしていた。

①はローマの発展の背景には人情のある人間関係の影響があり、

これがうまく使われていて勉強になった事を、

②は1500年以上前のアイドルも今のアイドルと同じ様な事をしてるんだな

と笑った事を書いた。

貴族さんマヂパネェっす

ローマが存在したのは紀元前700年代~476年までで、

1200年の歴史をもつ国とされている。(滅亡の時期が曖昧なため)

人種はイタリア人の見た目をイメージしてもらえばいい。

ただし、見た目だけだ。中身はかなり武士に近い。

最盛期には地中海沿岸を一周してしまうだけの大きな領土を持っていたが、

この発展の背景には、ローマに貴族と平民の間で強い信頼関係があった

からだと言われている。

この関係を簡単に言うと親分子分の関係で、これがうまく機能していて、

更に色んな所にこの関係をうまく使っているのが賢いなあと感心した。

現代でいうとマフィア暴力団のような関係が分かりやすいと思う。

地中海のマフィアや在米イタリア系マフィアの上下関係は、

ローマ時代の親分子分の関係がそのまま現代まで受け継がれた例だろう。

この親分子分の関係は貴族が平民を助けるだけ、または平民が貴族を協力するだけ

といった一方的なものではなかった。

貴族は子分である平民に仕事と報酬を与えたり食事を支給して面倒を見る、

平民は選挙の時に親分である貴族の選挙運動を手伝ったり票を入れたり、

仕事上だけでなくプライベートでも貴族に尽くしたりと

ギブアンドテイクの関係だった。

お互いにメリットがちゃんとあり、関係が抉れない様にうまく出来ている。

この関係は職場での上司部下といった関係ではなく、

プライベートなものだったがローマの組織のあらゆる所に見られ、

親分子分の関係がローマという国を作り大きな影響を与えていた。

しかも貴族は名誉と勇敢さを求めたので平民に対して傲慢に振る舞わない

平民は「あの人たちは立派だから」と貴族に畏怖の念を抱いていたから

ローマでは身分闘争が激化しなかった。つまり、

貴族「ワイは、みんなからすげえっ、まじガッツあるじゃんって思われたいんや!」

平民「貴族さんまぢパネェっす。仕事ください。飯ください」

ってことだ。

親分子分の関係で国家が成立するってどんだけ信頼関係あるんだよ!

って思う。

しかもローマではこの親分が子分を雇って国から予算をもらわずに、

水道や道の整備、祭場、神殿を作ったりと、

国からしてみれば貴族が公共事業をボランティアでやっていた。

しかも貴族は出来上がった道に石碑を立てたり、神殿に自分の名前を掘って

ワイが建てたんやぞ!ドヤ!

って露骨な権威と財力のアピールが出来ただけで満足だったらしい。単純すぎやろ。

ちなみに著者は、ローマ帝国が衰退した理由の一つにインフラの老朽を挙げている。

有名インフラでいうと、アッピア水道やアッピア街道は出来上がってから

500年以上経っていた。

そして財政難でインフラの更新が出来なかった事の他に、メンテナンスや修理では

人からの賞賛が得られず名誉にならない、自分の名前も残せないからあまりやらなかった

という問題も指摘している。

貴族さんマヂしょっぱいっす

ローマは親分子分の関係を使ってインフラ整備するところは良かったけれど、

その関係をインフラを「維持する」仕組みにまで組み込めなかったのがダメだった。

(500年先の事まで考えろっていう方が無理があるか)

親分子分の話に戻るが、広大な国土を持つ国を統治する上で非常に効率のいい

便利なシステムだなと思う。

当時のローマは三百人程度の官僚で広大な地域を統治していたけれど、

人数が少なすぎてとてもじゃないが管理しきれない。

貴族はええかっこしいだから、

官僚「やる事やってれば、あとは好きにしてええで。金は自分で何とかしてやで」

貴族「わかったで、子分と一緒に頑張るわ」

という感じに地方を管理する貴族にかなりの権限を持たせ、親分子分の強い人間関係を

利用する事で国全体を統治していた。

 

また、ローマ帝国において、ローマの国力が弱くなってピンチの時に

政治家が

「せや!親分子分の関係を軍隊でも使ってローマ軍を強化したろ!」

といった事例があり、国を統治するシステムを軍隊にも転用して

上手いこと考えたなと思った。

まず前提として、

ローマが他国へ戦争を吹っかけてよりどんどん領土を拡大していったが、

色々あってローマの国力が低下した。

最初は農業を強化しようとしたが失敗して責任者とその支援者が抹殺され、

責任者の志を引き継いだ弟も反対勢力によって自殺に追い込まれた。

(殺伐としすぎやろ・・・)

そこで農地改革を諦めた当時の政治家は

「農業がダメならまずは軍を強化したらええねん!」

と考え、ローマ軍の主力を徴兵による農民兵から志願兵に変更し、

志願兵に対して国から一定の給料を支給した。

ここで面白いのが、「国ではなくそれぞれ好きな将軍に使える」とした事だ

貴族=親分、平民=子分という型を将軍=親分、志願兵=子分と当てはめた事で、

志願兵は自分を大事にしてくれたり、戦争で活躍した際に報酬を弾んでくれる将軍につき、

将軍は優秀な兵士が欲しいから志願兵に装備を与えたり、無茶な命令を出さず大切に扱う。

というwin-winの関係ができて兵士が集まり、士気も上がって

ローマ軍を強化する事が出来て国力が回復していった。

こういう親分子分の関係という型を、地方の領地管理だけじゃなく

他の分野にも応用する、という思考が非常に参考になる。

物事の本質は不変であり、歴史から学べという事は

こういう本質や思考を先人から学べということだろう。

血塗れアイドル

次に、ローマ帝国に剣闘士という職業がありその中からアイドルが誕生して

現代のアイドルと変わらねえじゃん!

と笑った事と、この時代に流行りそうだと思ったアイデアについて語る。

まずは背景を簡単に説明する。

ローマ帝国の時代にめちゃくちゃ平和な時期があり、

かつて戦士国家と言われるくらい軍事に力を注いでいたローマ市民達が平和ボケした。

そしてローマ市民は国から提供される「サーカス」と支給される「パン」にしか

興味を示さなくなった。

「パン」は簡単に言うと誰でも貰える生活保護みたいなものだと思って欲しい。

民衆は退屈して刺激を求め、この欲求を満たすための娯楽が「サーカス」だ。

現代の生活保護を受けている人が娯楽を求めている図と非常に似ていると思う。

サーカスの中で最も民衆を魅了したのが剣闘士の試合で、

人類史上唯一国からやってもいいよと認められた殺人競技だった。

試合をする剣闘士は当時「言葉を喋る家畜の様なもの」と言われ人間扱いされない

奴隷だったが、

剣闘士の試合が盛んに行われるようになると強い者がスターのように扱われるという

皮肉な現象が起こった。さらに、女性の中には

「あの人カッコイイ!」

おかしくなっちゃいそう!心臓が破裂しそう!

とアイドルのように騒ぎ立てる者もいた。

随分血なまぐさいアイドルだな。

スターダムだからといって、良家のお嬢さんと結婚できるわけないが、

富裕層の人妻が剣闘士と浮気したとか、夫を捨てて剣闘士についていったという

噂話が記録として残っているらしい。性別の違いはあるが

恋愛が発覚してスキャンダルになる現代のアイドルみたいだな、

と思った。不倫や駆け落ちに発展しているから昔の方がシャレにならないが。

この剣闘士がもてはやされるようになると、ファイティングマネーがよかったこともあり

「乗るしかない、このビッグウェーブに」

と言って奴隷ではない自由民まで命を落とす危険も顧みず志願するようになった。

 

僕は、見込みのありそうな剣闘士をスターに仕立てた奴が絶対にいたと思う。

あとは富裕層の婦人と剣闘士との面会というサービスを提供したり、

就活サイトみたいに自由民の志願者を集めて剣闘士の試合を運営する側に紹介する

事業とかも流行っていたんじゃないかなと思う。

 

最後に、本書を読んでいて思いついたアイデアについて書いてみる。

スターが現れて盛り上がっていた剣闘士だが、

時代が下るにつれて剣闘士の死亡率が上がっていった。

十分な訓練を受けず、ルールも理解していない者同士がやみくもに戦って

面白い試合が出来なかったから、観衆を満足させるために敗者の命が必要だった

要は敗者にトドメを刺す様になった。

お客さんの欲求がどんどん過激になるが試合の質が下がったため、

剣闘士の命を無駄に消耗させる事でしか対応できなかった。

 

ビジネス的に考えると、リサーチ不足とコンテンツの質の低下が原因だろう。

そもそも人の命(この場合奴隷がメインだが)を使う事で成立していたコンテンツが

長続きするわけがない。

自分だったら、各地域や軍隊から選出してチームを作って、アメフトのような競技を

娯楽として見せたらどうかなとおもった。

(話題にならないだけで、すでにあったかもしれないが)

各地から試合を見るために人が集まって、競技場の近くでも商売が出来るし、

戦争に備えて個人の体力を鍛えたり、集団行動の訓練にもなる。

選手をスカウトしたり、チーム公認のグッズを売ったりと

今のスポーツ産業でやっているようなことがそのまま出来そうだ。

あと、絶対賭け事が盛り上がるとおもう。

 

以上、本書を読んで面白かった事2点に絞って話をしてみた。

歴史というと、学校での丸暗記教科のイメージがあって今まで食わず嫌いしていたけれど、

昔の人の思考や発案した制度を現代のシステムと比較したり、ビジネスの視点で見たりと

勉強になる事がいっぱいあった。

それに友達や知り合いに話すネタにもなるから本当におすすめ。

相手の知らない情報を提供して、話が盛り上がるっていうのも立派な価値提供であり、

ビジネスと同じ事だ。

先日友達と飲みに行った時に読んだ本の話からサブカルチャー、アマゾン、

製造業は危ないって話にどんどん発展していって盛り上がって楽しい時間を過ごせた。

旅行に行った事のある国の歴史とか、

短いページ数の歴史の本とか何でもいいので、

僕のように敬遠していた人にも是非、歴史に触れて欲しいと思う。

 

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